のえみは仕事柄本を読むことは多いのですが、主に読むのはIT技術書ばかりです。
昔からそうやって文章を読むのは好きだったのですが、さすがにIT技術書ばかり読んでいたのでは息が詰まるので、他のジャンルのものを読もうと本屋に出かけるのです。
その中で見つけたのがこちら、なだいなだ著、岩波新書の「権威と権力-いうことをきかせる原理・きく原理-」です。
この本が面白いのは、全編が精神科医と学生の「A君」の会話篇であることです。
学校のクラスで他の生徒が言うことを聞いてくれない、まとまりがないという悩みを精神科医の先生に相談してくるところから始まり、会話を通して権威や権力とはどのようなものか、まとまりがあるとはどのようなことかを考えていきます。
オチから書くと、組織や人々をまとまらせたいと考えはするけれど、実際にそうしようとすると色々問題が起きるからそれぞれがばらばらな中でなんとか調和のとれた状態を目指すべき、といった結論に落ち着きます。
「人々をまとまらせるにはどうすべきか」という当初の問いからは少し外れた、はっきりとはしないし相変わらず理想論でもある結論なのですが、それでももう少しマシな結末になりそうなところではあるように感じられました。
この会話篇ですが、最後の最後のページまで続きます。
のえみは正直あとがきでは著者が「このような形式で書いたのはこういう意図があったのですよ」みたいなことを書いていることを期待していました。
というか多分書いているだろうな、と。
あるいは、思想的に参考にした引用のリストとか、そういったものはどこかに書かれていそうな気もしたのですが・・・この本にはありませんでした。
全編会話篇、著者の補足的な注釈は一切なしのストロングスタイルです。
そういうところがなんだかおもしろいなと思いつつ読んでいました。
著者の主張はヒントがあるとすればこの本が書かれた時期、1974年であることです。
精神科医の先生の持ち出す事例として「組織を厳しいルールでまとめ上げようとすると組織内の政治的な権力争いが起きがち」という話があるのですが、これはもしかしてもしかしなくても全共闘とかあの頃の話だったりするのでしょうか。
あの動きは1960年代の末期なのだそうです。
時期としてはその後あまり時間をおかずに書かれた本ということになりますが、当時のことを振り返って書かれた本の一冊なのかなという気がします。
というか、多分そうです。
そんな昔の様子に思いを馳せつつ、読んですごしていました。