本を読んだ

「世界マヌケ反乱の手引書増補版」読んでちょっと元気が出た

「世界マヌケ反乱の手引書」という本の増補版が出ていたので気になって買って読んでしまいました。

はじめに目にしたのはこのtweetで、タイトルのアナーキーさと告知文の「来週からは各書店に並び、世間にこのふざけた本がばら撒かれてしまう。大混乱必至だ〜」の他人事さに引き込まれてしまいました。

オリジナルの本も知りませんでしたしそこまで理想社会とかそういったことにも興味はあまりなかったのですが、何となくそんな理由で予約してしまったのです。

内容としては、ほとんど帯の説明にあるとおり、世知辛い現代社会とは無縁の面白い場所を作って維持して、そこで生きていけばいいじゃないかというものです。

このような場所のことを本の中では「バカセンター」と呼び、その場所の構築方法から意地運営の方法まで実例ベースで解説しています。

個人的に面白いと思ったのは、著者の方がこのような場所を無限に作られ続けることで草の根的な活動を通して理想社会を作ろうとしていることです。

過去のたいていの場合理想社会を作ろうという試みは革命によって成し遂げようとされがちですが、大抵失敗するか、成功自体はしても血なまぐさい方向に転がって行きがちです。

ただ、実際には細かく見て行けばそのような社会を構成している場所は各地に点在していますし、作り出すことすら可能です。

そういったことを通して、「革命後の社会を勝手に始めてしまう」というアプローチは面白いなと思いました。

革命後の生き方を個別に三々五々始めてしまって、それぞれの場所が繋がることで協力関係を結びながら維持して拡大していく形で理想社会を作り出そうとしています。

場所がそれぞれにあるというのもよさそうに見えます。人それぞれに属していてしんどい場所もあればしんどくない場所もあります。場所が個別にあることによって波長が合うような場所を選んで生きることができます。

今の世の中を生きるしんどさには、生きる場所を選べない、価値観を選べないというしんどさがあるように思います。この国でどんな風に生きようと思っても人からの評価と利用価値がついて回ります。

かといってどこか海外だのへき地だのまで出て行って世俗から離れることができるわけでもありません。

でも、世の中にはそういう価値観やルールが完全にないとまではいかなくても、かなり薄い場所はところどころにあって。そういう場所に属するということでもう少しマシな生き方ができるのかなと思うと元気が出ました。

まあ著者の方からしたら「元気が出ました」なんて言ってないでそういうバカセンターを一つでも作ってくれ!と思われるかもしれませんが。

ただ、そういった場所に参加して維持することくらいはできるかもしれません。そのあたりから始めてみたいと思いました。

巻末にはなタ書

巻末には著者の方が把握している国内外のバカセンターの一覧があるのですが、香川を探すとなんと「なタ書」がありました。

あそこってバカセンターにカウントされるのですね。

確かに外社会とは異なるルールが空気として流れている気がします。資本主義社会の中にあるにしては家賃が10000円で開いているお店ということで維持性能がピカ一です。

予約制のお店ではありますが、どちらかというと店主の方が店にいらっしゃる間だけ開いているという形で、Xを見ていると「今日/明日は何時以降はどなたでもご来店可能です」とアナウンスされていて、その時間帯に行くと常に誰かしらお客が入っています。

まだ話しかけたことはないですが(話しかけていいものかどうかも分からない)、おそらくそういった場所に集まってコミュニケーションを取り始めるところから何か生き方が変わっていくのかな、という気がしました。